図1 バイメタルアクチュエータ(転がり型:左,振動型:右) |
推進力の発生原理は転がり型を基本に図2のように考えられる.バイメタルは温度上昇により内側(低熱膨張側)にわん曲する.円筒を熱源上に置くとその接触,形状が完全な対称ではないことから,熱伝導,温度分布に非対称が存在する.図ように左側がより温度が高い場合,温度上昇に伴うわん曲は左側で大きい.よって円筒のわん曲の和は右回りのトルクになり,これは右方向へ転がり出す.熱源との接触の履歴を考えると円筒が転がる間も,接点後方(左側)の温度が高く,前方(右)は冷やされることで温度が低い部分になる.よって運動中も,わん曲の和は右回りのトルクになる.このようにしてトルクが継続的に発生することで運動が持続する.図2右は,転がり時の温度分布をサーモグラフィーにより測定した結果で,左側の接点から後方に温度が高い部分があることがわかる.この時,右方向への推力を我々は手でも感じた.
図2 推力の発生原理(左)と円筒のサーモグラフィーによる温度分布(右) |
図3 振動子を用いたステップ移動機構 | |
図4 振動子を用いたステップ移動機構 |
我々は,以上の原理を基本にしたアクチュエータの駆動が高温で実現できる可能性を以下の点で考察している.